融資

創業融資の可否は、スキル・人間性・計画の実効性の3つで決まる!

創業時の資金調達方法として最も活用されているのが、『日本政策金融公庫による創業融資』です。
(参考:日本政策金融公庫ホームページ「新創業融資制度」

別記事でも解説していますが、民間金融機関による創業融資や制度融資の活用も選択肢とはなりますが、より好条件で借入ができるという理由から、公庫の創業融資が選ばれています。

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しかし好条件で借入ができるといっても、融資の申込みをすれば必ず借入ができるわけではなく、融資審査を通過できなければ1円たりとも借りることはできません。

今回は、公庫の創業融資において肝となる『3つの審査ポイント』について解説します。

融資審査は「返済可能性」がすべて!

日本政策金融公庫にせよ、民間金融機関にせよ、当然ですが、貸したお金が返ってこないような相手先には融資をしたくありません。

したがって融資審査の際には、融資先の「返済可能性」が最も重視されます。

しかし長年にわたる事業実績があれば、過去の融資の返済実績や経営状況などが返済可能性を裏付ける「信用」として考慮されるでしょうが、創業して間もない場合には、どうしても提示できる根拠が乏しくなります。

もちろん、創業融資を行う公庫側もその点は重々承知のため、『返済可能性=事業の成功可能性』とみなして融資審査が行われるのです。

つまり「この人なら事業を軌道に乗せて、きちんと返済してくれそうだな」と思える事業者に対し、創業融資は実行されます。

具体的には、「事業の成功可能性」は以下の3点に基づいてジャッジされます。

1. スキルについて

もしあなたがお金を貸すなら、

  1. 今まで飲食店勤務ゼロの会社員が脱サラして創業するラーメン屋さん
  2. 10年間人気ラーメン店で修業を積んで創業するラーメン屋さん

のどちらの方が安心して貸せますか?

主観的な感情を抜きにして確実性を追求するのであれば、間違いなく2の業界経験がある人を選ぶはずです。

もちろん、1のように業界未経験の人でも成功する可能性はあります。

しかしあなたのことを全く知らない融資担当者からすれば、その業界での充分な勤務経験があるということは、事業が成功するための重要な”根拠”となるのです。

何人もの融資申し込みがある中で、公庫としてもすべての事業者へ融資することはできず、その中から融資先を選定しなければなりません。

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業界未経験の人と経験豊富な人がいれば、後者の方が「事業の成功可能性が高い」と判断されやすくなるのです。

このような創業する事業に関連する業界や業種での勤務経験を「斯業経験」といい、創業融資の審査においては、斯業経験は少なくとも6年以上が望ましいと考えられます。

2. 人間性について

先ほどと同様に、あなたがお金を貸すとしたら、

  1. 急に思い立って起業を決意した人
  2. 何年も前から起業を目指して準備してきた人

のどちらに貸したいと思いますか?

リスクが少ない方を選ぶのであれば、「堅実で計画的な印象」がある後者となることでしょう。

創業融資の審査でも同様で、回収不能となるリスクを減らすためにはできるだけしっかりと準備された計画的な起業で、堅実さが感じられるような創業者を選びたいと思うはずです。

ではそのような人間性や計画性はどこで評価されるかというと、ズバリ「自己資金」です。

長年にわたってコツコツと貯めてきた「自己資金」こそが、創業の計画性やあなたの堅実な人間性の”根拠”となるのです。

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創業融資においては、制度上、最低でも融資額の10分の1の自己資金が必要ですが、実際のところ、自己資金の2~4倍程度の融資額が一般的です。(つまり自己資金が200万円であれば、融資額の目安は400~800万円となります。)

「自己資金なんかで私の何がわかるんだ!」と思われるかもしれませんが、融資担当者からすれば、そのような客観的な材料で判断せざるを得ないのです。

3. 計画の実効性について

先述した「人間性」と関連しますが、創業計画書に書かれている内容が現実的かどうかについても、融資審査では重要な要素となります。

いくら計画の上ではしっかりと利益が出て、充分に返済可能となっていても、の数字の根拠が乏しく、ただの絵に描いた餅であれば意味がありません。
(むしろ楽観的過ぎるとマイナスとなってしまいます。)

たとえば飲食店を出店したからといって、集客活動も行わずにいきなり連日満席となることは現実的ではありませんよね。

また経営者やその家族の生活費も必要となるはずですが、それが資金計画に加味されていなければ、本当に返済ができるのか怪しくなってしまいます。

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このように創業計画書を作成する上では、集客のための広告宣伝費や経営者の生活費、お店の業種や規模、メニュー内容を踏まえた客数や客単価、回転率、利益率など、根拠に基づいた客観的な数字を創業計画に落とし込む必要があります。

数字の根拠が不充分で非現実的な創業計画書だと、融資担当者は「本当にこの人に貸して大丈夫だろうか…?」と不安に感じ、マイナス評価へと繋がってしまいます。

したがって創業計画書は楽観的な内容よりも保守的に作成することを心掛け、「厳しめに見ても充分に返済できる計画です!」とアピールできる方が確実に好印象です。

創業計画書においては、売上や経費などの数字をどのように計算したものか、現実的で実効性のある根拠を示せるように意識しましょう。

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その中で「スキル」や「人間性」、「計画の実効性」の3点は必ず考慮される重要な要素となりますので、創業融資を検討されている方は、これらを意識して準備するようにしましょう。

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服部 大

2020年2月に愛知県名古屋市で独立開業した税理士/中小企業診断士です。 若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援しています。

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